RM_horseの競馬コラム

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瀧澤謙太 vs. 今成正和 感想

応援している瀧澤謙太選手の試合がありましたので、その感想を述べます。

 

【 判定は妥当だが運も良かった】

試合映像はこちら


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序盤から両者とも手数が少ない展開。イマナリロールに入られないよう、瀧澤選手は常にサークリングをし続けます。

それでも単発で入れるパンチは顔面にしっかりとヒットしていました。

しかし今成選手はグラウンドに誘い込もうとパンチをもらうとすぐに倒れこんでしまうので、連打は入りません。

結論を言うと、3Rに一度だけ今成選手が足を捕らえてグラウンドに引きずり込もうとした場面以外は、瀧澤選手がサークリングしながら単発でパンチを入れていく展開で15分が終わりました。

 判定は3-0で瀧澤選手の勝利です。

 

解説の高坂剛氏は今成選手の勝ちと考えていたようで、「判定基準を知りたい」と話していたり、会場では今成選手の勝利と感じた人のブーイングがあったようです。

しかし、 私は瀧澤選手の判定勝ちは妥当だと感じました。

なぜなら今成選手側に強調できる点がほとんどないからです。

RIZINの判定基準(優先順位)は下記のように定められています。

  1. 相手に与えたダメージ
  2. アグレッシブネス
  3. ジェネラルシップ(試合ペースやポジションの支配)

相手に与えたダメージが第一優先なので、打撃を当てている瀧澤選手の勝利は明白です。

唯一今成選手がダメージを与える可能性のあった足関は入りが浅く、関節技には移行できていません。

それなのに今成選手の勝ちと考えるのはどういう思考なのか疑問です。

 

ただし、これは運が良かったです。

お互い手数が少なかったので1Rでは口頭注意、2Rには次は減点する旨を告げられる注意がありました。

これは作戦としては有効で、減点するまでは無駄に手を出さずに今成選手のチャンスの機会を少なくするのが狙いでしょう。

しかし、「次は減点する」と言われても手数はあまり増えませんでした。

ここで減点されていたら判定の行方はわからなくなります。

RIZINはトータルジャッジなので減点と言われてもどれくらい不利なのかよくわからないからです。

もちろん減点されていたとしても勝利していたかもしれません。

しかし減点を取られなかった場合は勝利が明白なので、運がよかったと感じた次第です。

 

また、イマナリロールに捕まった場面で、ロープ掴みの反則ではないかと指摘がありました。

これはロープに触れた、寄りかかったタイミングはありましたが、ロープを明確に掴んではいないように見え、さらに体勢を崩されてロープに腕が触れるたびに回避するように努力していたと思います。

それでも反則を取られるときは取られるのかもしれませんが、これで反則を取られてしまったら気の毒だなと感じる場面でした。

そもそもあの足関から逃げようとすると不可抗力でロープに触れるタイミングはどうしてもあるだろう、そろそろRIZINはロープ掴みやリング外退避の反則の責任を選手にだけ押し付けるなよと思っていました。

と書く前に関根シュレック秀樹選手がTwitterで同じことを記していました。

 

なのでロープ掴みに関しては批判はあるみたいですがお門違いだと思います。

 

 

【瀧澤選手だけが逃げているわけではないだろう】

試合後、瀧澤選手が逃げ回っているだけという趣旨の批判が殺到しました。

確かに今までの試合より手数は少なかったですし、寝技には付き合わずにいました。

相手の土俵で戦わないことを「逃げている」と表現されたらそこまでです。

しかし3Rの残り1分くらいは目に見えて下がっていましたから、そこは逃げなのかもしれません。

 

ただ、瀧澤選手だけを逃げていると批判するのは不公平な話です。

今成選手は瀧澤選手の打撃をもらったらその勢いで尻餅をついて寝技に誘い込んでいました。

これは逃げではないの??と感じます。

パンチを貰ったらすぐに尻餅をついていわゆる”猪木アリ状態”になるのは打撃から逃げてますよね??

瀧澤選手が寝技に付き合わないのと何が違うのでしょうか?

 

別に私は逃げが悪いとは思いません。

ただ、逃げを批判するマインドならどちらも批判しないと不公平なだけです。

要は今成選手をひいきしているだけです。

 

先ほどの判定基準の話で言えば、尻餅を全てフラッシュダウンと考えれば瀧澤選手の大圧勝ですよ。

実際に多少はきいていたパンチもあったでしょう。

他の選手の試合ではフラッシュダウンでもダウンを取った選手には効果的な打撃として判定が有利になっているはずです。

今成選手にだけダウンが適用されないのはおかしいですから、あの誘い込み方は判定では勝てなくなるリスクのあるやり方なのです。

 

 

【試合を見て感じたこと】

ここまでが試合内容の振り返りですが、感じたことが3つありました。

 

1つ目は瀧澤選手らしくなかったなということです。これは批判ではないです。

瀧澤選手は「リスクを背負わないと成功は掴めない」とよく口にしています。

今回はリスクを取らない方法を選択したように感じます。

この試合はバンタム級トーナメントの1回戦です。負ければ次はありません。

さらに瀧澤選手はRIZIN2連敗中の身なので、負ければ3連敗となり余計にRIZINでのポジションは無くなるところでした。

何が何でも勝たなければいけない試合だったということです。

毎回最高の試合を見せる選手なんてまずいません。

毎回KO勝ちかKO負けという選手はいますが、毎回KO勝ちする選手は現代では存在し得ないと言ってもいいでしょう。

絶対的な王者のジョン・ジョーンズイスラエル・アデサニヤでも安全運転の判定勝ちはあります。

そういう試合が出来るのも能力の一つです。

ただ、意外だったなという話です。

 

2つ目はファンが増える試合ではなく、むしろ減るかもしれないなと感じました。

私は長年MMAを見続けてきましたので熱戦でなくても楽しめますが、そんなのは少数派で、熱戦でないと楽しめない人のほうが圧倒的に多いです。

先述の逃げ回っている批判も論理的には反論できますが、感情は時には理屈じゃないですからね。

気に入らないと思ったら気に入らないのです。

(だからといってクソリプしたり、YouTubeのコメントで罵詈雑言を書き込むのは許されませんが)

瀧澤選手は勝利と2回戦の切符を手にしましたが、失ったものもあったのかもしれません。

もちろん勝利が最優先のシチュエーションでしたが・・・

 

 

【あれだけは言ってはいけなかった】

ここまでは批判ではないですが、感じたことの3つ目で1つだけ苦言を呈させていただきます。

試合が終わった後のマイクおよびTwitterで下記のような発言をしています。

 勝ちに徹する戦いをしたというシンプルな話なのですが、「勝つために面白くない試合をした」とも取られかねません。

 

時は遡り2017年9月23日、私はさいたまスーパーアリーナにいました。

この日はUFCの日本大会が開催されていました。

問題の試合は中村K太郎 vs. アレックス・モロノ。

この試合は到底プロとは思えない、信じられないほど手数が少なかったです。

お互いに見合いに見合いまくり、ラウンドの終盤に少し攻撃する。

この展開が3Rすべて続いて終わりました。

今回の瀧澤選手の半分以下の手数で、ダメージを与えるような打撃は3R通してゼロでした。

MMAを今まで見てきた中でナンバーワンと言っていいほどの凡戦でした。

 

判定は2-1で中村K太郎が勝ちましたが、日本大会で日本人が勝ったのに日本人の観客にブーイングされていました。

このブーイングは「モロノの勝ちだろ!」ではなく、「こんなしょっぱい試合見せやがって!」というものでした。

まあコンディションが悪かったとかなら仕方ないです。

しかし、試合後の囲み取材で中村K太郎が放った言葉は

「久しぶりの試合で落ち着きすぎた。これで連敗もないから次はアグレッシブにいく。」

でした。

は??日本大会だよ???

日本人がたくさん応援しに来てるんだよ???

何が落ち着きすぎただよ、アグレッシブにいけるなら最初からやれよ!

って思いましたね。

 

あなたは生涯の数十試合の中の1試合に過ぎないかもしれません。

しかし次とか言われても、観客には次は無いんです。

UFCの日本大会なんて多くても年1回です。さらにこの2017年の大会を最後にUFCは日本大会を開催していないです。

チケットも非常に高価です(当時のUFCのチケットと今のRIZINのチケットの価格は同じくらい)。

 

そんなシチュエーションでもあんなクソつまらない試合が出来るK太郎はある意味強心臓なのかもしれません。

しかし、これ以降K太郎は嫌いになり、K太郎が映ると見ないくらい嫌悪しています。

 

瀧澤選手の試合は当時のK太郎の試合のような酷い試合とは個人的には思いませんが、高いチケットを買って見ていたお客さんの中には、酷い試合と思った人はいたかもしれません。

瀧澤選手の試合後のマイクは、そういう人の神経を逆なでするようなものになりかねないと感じました。

 

瀧澤選手は誠実なので単純にKO勝ちを見せれなかったことを詫びたかっただけかもしれません。

しかし、「勝ちに徹した」と言われると、あえて面白くない試合をしたんだな、お客さんのこと何にも考えてねえのかよ、と捉える人もいると思います。

実際、そう思った人がクソリプを飛ばしてきているのでしょう。

 

うかつな発言だったと言わざるを得ません。

 

 

【何はともあれ1回戦突破おめでとうございます。】

まあいろいろ書きましたが、1回戦突破できたことはホッとしました。

おめでとうございます。

 

今回は相性の問題もありましたし、ストライカーと今成選手が対戦するとああなりがちなので、貧乏くじを引いたかなと思うしかないでしょう。

 

MMAファンは次も一応見てくれるはずなので、取り返すなら2回戦しかないでしょう。

対戦相手はまだわかりませんが、期待しています。