RM_horseの競馬コラム

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瀧澤謙太 vs. 今成正和の展望

 

応援している瀧澤謙太選手の試合展望です。

 

2020年はRIZINデビュー戦で白星スタートも

その後は間隔の短さもあり、強豪選手との2連戦を勝つことはできませんでした。

 

それから約半年、RIZINバンタム級トーナメントの開催が発表され、

瀧澤選手もエントリーが叶いました。

今回の今成戦はそのトーナメントの1回戦です。

 

今までと同じように展望を記します。

 

 

・ここは順当に勝ってもらいたい

結論から言えば、ここは勝てるものと思っています。

 

確かに今成選手は経験豊富な選手ですし、

誰も持っていない究極の武器を持っています。

 

しかし、昨年は日本のバンタム級のトップ層としのぎを削ってきた瀧澤選手に対し、

今成選手は2019年以降、年1試合のペースでしかMMAの試合をしてきていません。

まだまだ動きに大きな衰えは感じさせないものの、年齢は45歳です。

20年選手の大ベテランで試合数は60を超えます。

 

乱暴な言い方をしてしまえば、

「45歳のオッサンに手こずっていたらダメでしょ」

という話なのです。

 

瀧澤選手には、今成選手に引導を渡すような試合をしてもらいたいです。

 

 

・今成選手は出来ることと出来ないことがはっきりしている

先に申し上げておくと、私は今成選手が大好きです。

最初に試合を拝見したのは2004年のPRIDE武士道ルイス・ブスカペ戦ですから

17年も前から今成選手を見ています。

特にDEEPでの大活躍は素晴らしかったです。

 

今成選手はご存知の通り、“足関十段”の異名を持ち、

ヒールフックを極める技術はMMAの歴史でもナンバーワンではないでしょうか?

また、ヒールフックのイメージが強いですが、

アームバー(腕ひしぎ十字固め)での1本勝ちも非常に多く、

決して足関節だけの選手ではありません。

(リアネイキドチョーク=裸締めの勝利は1試合しかない)

 

ただし、倒せる打撃は持っておらず、

38勝のうち、KO勝ちは下からの蹴り上げの1試合しかありません。

 

現代のMMAではほぼ絶滅しているグラップリング&サブミッション特化型の選手です。

青木真也選手でも強烈なパウンドを持ち合わせていますから、

勝ちパターンがサブミッションしかないのにキャリアで大きく勝ち越しているのは

非常に特異的な存在と言えるでしょう。

 

しかも、今成選手はスタンドでのタックルを持っているわけではありません。

その代わりにイマナリロールと言われる

前転をしながら相手の足に絡みつく独特のテイクダウン技術を持っており、

きちんと対策していないとイマナリロール&ヒールフックの餌食になります。

 

ただし、ガチガチに対策をされると何もできずに15分が終わることもしばしばあります。

また、激闘の履歴で打たれ弱くもなってきていることでしょう。

 

今成選手はバンタム級トーナメント参加選手の全員から1本を取れる可能性がある選手ですが

同時に全員からあっさり負ける可能性も大きい選手だと思います。

 

 

・相性の問題は?

では、瀧澤選手との相性はどうでしょうか?

結論から言えば特に問題なく、むしろ相性はいいのかなと思っています。

 

しかし、世間一般の評価は違います。

トーナメント出場選手のうち、今成選手が唯一通用しそうなのが瀧澤選手

という論評も目にしたことがあります。

 

おそらくそれは2つの理由から考えられています。

・キックを多用するファイトスタイル

・寝技が得意でない

 

前者はわからないこともないですが、最近の瀧澤選手は

どちらかというとパンチで試合を組み立てるスタイルで

扇久保戦からはリーチを活かしたジャブも多用するようになりました。

前回の佐々木戦の3Rではローキックが効果的でしたが、

そこを見て今成選手と相性が悪いというのはピンポイントすぎます。

 

イマナリロールはローキックのカウンターで繰り出すことが多いので

ローキックは多用しにくいことは事実ですが

瀧澤選手はローキックに頼らずとも試合を組み立てることができます。

 

ミドルキックやハイキックも含めて、あまりに多用しなければ

問題なく使えることでしょう。

当然イマナリロールの対策練習もしているはずです。

 

そして寝技が得意ではないというのは間違いです。

オフェンス面はともかく、

瀧澤選手の寝技のディフェンス力はトーナメント出場者随一です。

扇久保選手にハイキックを効かされても、

スタミナが切れた佐々木戦でも一本は取られませんでしたし、

いい形にも入られませんでした。

 

そもそも瀧澤選手は一本負けはハファエル・シウバ戦しかないのです。

瀧澤選手と試合した時のハファエル・シウバは、

その身体つきからナチュラルではない(ドーピングユーザーである)可能性が高く、

まともな選手には1度も一本を取られていないのです。

 

どうもMMAファンの多くは、

「打撃が得意な選手は寝技が苦手」

「一本勝ちが多い選手は寝技が得意」

という先入観があるように見えます。

 

ただ、MMAを見ていると

“一本を取れる技術”と“一本を取られない技術”

は必ずしもイコールにならないことがわかります。

(もちろん両方優れている選手もいます)

 

瀧澤選手はプロのキャリアで一本勝ちはありませんので

一本を取れる技術が優れているかどうかはまだ分かりませんが、

(ファイトスタイルが打撃に偏っていたため)

一本を取られない技術に関してはかなり優れています。

 

逆に今成選手から見た、瀧澤選手の相性はどうでしょうか?

イマナリロールで下になった時にすぐにタップアウトができればいいですが

そうでない場合、瀧澤選手はリーチが長いため、

パウンドが楽に顔面をとらえることができます。

これは非常に嫌なはずです。

 

よって、相性も瀧澤選手から見れば問題ないと考えています。

 

 

・簡単ではない相手に簡単に見えるような勝ち方を

ひたすらイマナリロールをかわし続け、

ジャブを当てて判定勝ちをするなら比較的難しくないのかもしれません。

今成選手のそういう負け方をたくさん見てきました。

 

しかし、瀧澤選手は安全に判定勝ちを狙う選手ではありません。

無謀なことは試合ではしないものの、KO勝ちを常に狙っています。

 

おそらく今成選手はファンよりも選手の評価が高い選手です。

そういう選手だからこそ、ファンに響くには勝ち方も重要になってきそうです。

 

例えば朝倉海選手は簡単に見えるような勝ち方をしますよね?

昨年の昇侍戦なんかも、圧倒して勝ったように見えますが

昇侍選手は一発があるため、簡単に勝てる相手ではありません。

それでも簡単に勝ったように見えるのです。

だから彼はスターなのだと思います。

 

瀧澤選手も今回は簡単に見えるような勝ち方が求められているのではないでしょうか?

そうすることで自信も生まれるでしょうし、

ファイターとしてもう一段階ステップアップしたことになるでしょう。

 

(こんなこと書きましたが、まあ勝てればなんでもいいです)

 

 

・あとはコンディションと減量

最大の懸念はコンディションと減量ではないでしょうか?

 

昨年大晦日から6ヶ月弱経過しているので、疲れは一旦抜けているとは思いますが

身体のダメージは少なからずあったと思います。

致命的な怪我など無ければいいのですが。

 

そして最も懸念しているのは減量です。

瀧澤選手はこの5ヶ月間、ただ休んでいたわけでなく

肉体改造で身体が増えています。

これまでは5〜6kg程度の減量でしたが、

今回は10kg近くの減量を強いられることでしょう。

 

ただでさえバンタム級では珍しいくらいの高身長(178cm)であり、

普段からあまり体重は増やさないようにしているとのことですので、

身体が増えたことによって減量もかなりキツくなっているでしょう。

 

将来的には佐々木憂流迦選手と同様に

フェザー級の転向も視野に入るのではないでしょうか?

 

 

・まとめ

今回はコンディションや減量以外はそんなに心配していませんので、

どういう勝ち方をするのか非常に楽しみにしています。

扇久保戦の後に話していたスタイルチェンジに関しても、

この試合あたりから片鱗が見えてくるはずです。

 

進化した瀧澤謙太を見守ります。