RM_horseの競馬コラム

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瀧澤謙太 vs. 扇久保博正【RIZIN25】試合前徹底分析

 

応援している瀧澤謙太選手の

RIZINでの2戦目が早くも決定しています。

 

対戦相手は扇久保博正選手。

修斗世界王者で、現在はいわゆるRIZIN四天王の1人。

実績では大きく瀧澤選手を上回ります。

 

では、その実績通り扇久保選手が優勢で、

瀧澤選手に勝ち目がないのか?

両者の過去の試合を見ながら考えてみます。

 

どうせ公平には考えられないので、

瀧澤選手はどうしたら勝てそうかというのを

セコンドでもプロでも専門家でもありませんが

真剣に考えてみます。

 

 

・両者の戦績を確認する

最初に両者の戦績を振り返ります。

まずは扇久保選手から。

f:id:RM_horse:20201030111807j:image

Wikipedia; 扇久保博正

あまり昔の戦績を振り返っても参考にならないので、

2010年以降の戦績を載せています。

 

2010年以降で18戦して14勝4敗は素晴らしいの一言に尽きます。

負けた相手も堀口恭司朝倉海エドゥアルド・ダンタスと非常に強い3名。

 

堀口選手と朝倉海選手は言わずもがなですが、

エドゥアルド・ダンタス選手は扇久保選手に勝った後に

Bellatorに参戦してバンタム級王者になった正真正銘の強豪です。

つまり、強い選手にしか負けていないのです。

勝ち星の取りこぼしもしない選手と言えます。

 

2017年まではフライ級で試合をしていましたが、

2018年のRIZIN参戦からはバンタム級に階級をあげています。

修斗でフライ級の試合を挟んでいますが、RIZINではバンタム級

そこからの活躍もめざましく、DEEP王者元谷選手

パンクラス王者石渡選手勝利しています。

 

今のところ、戦績だけ見れば堀口選手と朝倉海選手以外の

日本人選手には負ける気がしないのではないでしょうか?

 

一方の瀧澤選手はどうでしょうか。

瀧澤選手はWikipediaのページがないのですね。

MMAに詳しいウィキペディアンの方お願いします!)

 

仕方ないので海外のMMAサイトの

Sherdogを引用させていただきます。

f:id:RM_horse:20201030114157j:image

Kenta Takizawa MMA Stats, Pictures, News, Videos, Biography - Sherdog.com

 

石井逸人選手と金太郎選手(外村雄人が本名)を破って現在2連勝中ですが、

3戦前にはパンクラスバンタム級タイトルマッチで

ハファエル・シウバ選手に敗れています。

(シウバはその不自然な筋肉の付き方から、

 明らかなドーピングユーザーでしたが)

 

ハファエル・シウバは石渡選手に敗れており、

その石渡選手は扇久保選手に敗れている。

三段論法で扇久保選手が優勢と考えるのは自然ですが、

果たしてそんなに簡単な話でしょうか?

 

瀧澤選手はここ1年で体付きが見違えるほどで

ファイターとして大きく伸びている最中です。

 

そもそも三段論法が裏切られることはRIZINでも証明されています。

堀口選手はマネル・ケイプ選手に一本勝ちしていますが、

朝倉海選手にはKO負け。その朝倉海選手はマネル・ケイプと2戦して

1勝1敗ながらも接戦のスプリット判定の1勝と、KO負けの1敗です。

 

当然、勝敗には相性やコンディションも影響します。

あまりに実力差があればそんなことも関係なくなりますが

瀧澤選手と扇久保選手にはそこまでの実力差はないと考えています。

となれば相性次第では瀧澤選手にも勝ちの目はあるということです。

 

 

・扇久保選手の欠点と、瀧澤選手の勝利へのポイント

扇久保選手の試合映像は、YouTubeRIZIN公式チャンネルで

元谷戦、石渡戦、朝倉戦の3試合アップされています。

非常に参考になると思いますので、見ていきましょう。

 

 

3試合を通して言えるのは、

扇久保選手は結構パンチをもらうタイプだなと思いました。

ディフェンスの上手い選手と思っていたわけではないですが、

詳しく試合を見てみると、思ったよりもらってしまうなと感じました。

 

おそらく驚異的な打たれ強さがあり、大きなもので無ければ

パンチをもらうことを臆さずに自分の試合を組み立てることで、

試合を有利に進めているのだと思われます。

 

ただ、どれだけ生粋の打たれ強さがあっても、気持ちが強くても

MMAは打たれ弱くなる時が必ず来ることは

これまでの歴史で証明されています。

ヒョードルのマン振りパウンドを何発でも耐え抜いたノゲイラや、

K-1時代から抜群の打たれ強さを武器にしていたマークハントですら

キャリア晩年はノックダウンが目立つようになりました。

 

MMAにおいて生涯打たれ強い選手などいない」

が20年この競技を見てきた私の持論であり、それが正しければ

元谷戦でも石渡戦でもパンチをもらいまくり、

さらに前回のKO負けを考慮すると

そろそろ打たれ弱くなってくる時期ではないでしょうか?

 

そう考えると、KO率が非常に高い瀧澤選手は

扇久保選手からすると、周りの評価以上に難敵だと思います。

 

パンチをもらいすぎることが、

扇久保選手の最大のウィークポイントでしょう。

改めて戦績を確認すると、堀口選手と朝倉海選手は

戦績が優秀というだけでなく、KO率も高いファイターです。

倒すパンチを持っている瀧澤選手は相性が悪いと言えます。

勝機は当然あるでしょう。

 

具体的にどういうパンチが当たるのか?

元谷戦および石渡戦では、両者が得意なパンチということもあり、

ジャブやストレート系のパンチの被弾が多かったです。

しかし、瀧澤選手はストレートは得意ではありません。

(もちろん試合の終盤になればフックも当たると思います。)

 

では、瀧澤選手の打撃はかわされてしまうのか?

それは朝倉戦にヒントがあり、KOに繋がったのはアッパーでした。

 

扇久保選手がガードではなくパンチをかわすパターンは

3試合通してダッキングしかなかったです。

(ハイキックはスウェーバックでかわしている)

ダッキングに来たところにアッパーがよく当たります。

 

アッパーは瀧澤選手も得意としているパンチ。

上記の通り、扇久保選手はパンチをもらいやすいので

これは2,3ヶ月で改善していることはないでしょう。

 

瀧澤選手の前回の試合では、左右のフックで

金太郎選手からダウンを取っていますので、

フックを警戒してくるはずです。

そして、ダッキングで頭が下がったところにアッパーが入る

これがKOパターンで最も有力です。

 

また、瀧澤選手が金太郎戦で多用していた

ボディへの膝からフックのコンビネーションも

当然ながら警戒してくると思います。

 

扇久保選手は朝倉戦で序盤にもらったボディへの膝が

きいていたようにも見えるので、

特にボディへの膝に関しては対策をしてくるはずです。

 

石井戦のように、前に出てきた相手に対する

カウンターの膝であれば狙えますが

自ら前進しての膝は、後述のテイクダウンのこともあるので

今回は多用するのは危険ではないかと考えています。

 

しかしながら相性で言えば瀧澤選手が有利ではないか?

というように考えています。

 

 

・瀧澤選手の負けパターンを考える

逆に扇久保選手の長所についても考えてみます。

扇久保選手はオールラウンドながらもどちらかというと

グラウンドで勝負した方が強いと言われています。

 

テイクダウンは基本的には相手の打撃に合わせた

カウンターのタックルです。

試合の中終盤なら打撃のコンビネーションからタックルに

繋げてくることもありますが、序盤はカウンターのみです。

瀧澤選手はテイクダウンディフェンスに自信を持っていますが

扇久保選手はタイミングが絶妙なので

全て切れるとは思わない方がいいでしょう。

 

元谷戦ではリフトしてテイクダウンを取るシーンが何度かありました。

背中で手首をガッチリホールドされると、そういったスラム気味の

テイクダウンは防ぐことが難しいですが、

重要なのはテイクダウンを取られてからの対応です。

パスガードに関してはそのタイミングで立つこともできるので

むしろ積極的に狙ってくるならありがたいくらいですが、

バックを取られると脱出は困難です。

RIZINはリングなので壁を使って立つことはできないので

いかにバックを取られないか、すぐ立てるか

そして、消耗しないかが重要になってきます。

 

瀧澤選手が負けるとしたらテイクダウン地獄で消耗して

ヘトヘトになってしまうパターンだと思います。

元谷選手もこのパターンで敗れています。

その対策は私が書くまでもなくみっちり仕上げると思いますが、

負けパターンとしては最も有力だと記しておきます。

 

 

・扇久保選手の意外な武器にも注意

また、もう一つあまり言われていませんが

扇久保選手には意外な武器があります。

それはローキックです。

 

上の試合映像の石渡戦では、1Rから前脚へのローキックを多用しています。

インローもアウトローもどちらも繰り出していました。

素早いモーションでそれほど振りが大きいキックではないのですが、

2Rの開始時点で石渡選手の右のももは赤く腫れているように見えました。

 

おそらく後々きいてくる効果的な攻撃です。前にも出にくくなります。

ローキックをまともにもらい続けるのはよろしくないでしょう。

また、インローに見せかけての左ミドルも上手いです。

 

試合の記者会見で扇久保選手は

「蹴りでも負けない自信がある」

と話していました。

 

これは負けず嫌いのハッタリではなく、

きちんと試合で裏付けされた、

自分なりに根拠を持っての発言なのでしょう。

 

 

・おまけ:記者会見等の両者の発言を紐解く

上記で記者会見での発言を拾いましたので、

両者のこれまでの発言から、実際はどうなのか、

試合ではどうなるのか考えてみます。

 

▪️扇久保選手「瀧澤選手はパンチが上手くない」

この発言の真意はおそらく

ジャブやストレートといったコンビネーションを

使わないことに起因しているのではないかと思います。

ボクシングっぽさがないということではないでしょうか?

 

確かに私も前に瀧澤選手の課題のひとつに

ストレート系のパンチが欲しいことを書いています。

 

しかし、それはパンチが上手くないという理由ではなく、

単に長距離レンジのパンチもあると、組み立ての幅が広がるなという理由です。

別にMMAにおいてボクシングっぽさは必須ではないと感じています。

 

ボクシングっぽいパンチでも、優れたストライカーはたくさんいます。

代表格はニック・ディアスです。

彼のパンチはよくヘタウマパンチと言われ、

見た目には腰が入っているようには到底見えないパンチですが

相手に確実ダメージを与えています。

 

MMAの歴代PFPとも言われるジョン・ジョーンズ

ボクシングっぽさはなかったですし、

割とそういう選手はいるものです。

 

そもそも、瀧澤選手はパンチで数多くのKO、ノックダウンを奪っています。

見た目に綺麗なパンチ、コンビネーションでなくても倒せればいいのです。

(瀧澤選手の打撃が綺麗でないとは思いませんが)

 

瀧澤選手は堀口選手や青木選手などと同様に、

バックボーンをうまくMMAに昇華した選手と言えるでしょう。

それは扇久保選手も理解していると思いますので

特に油断していることはないとは思いますが、

パンチは大したことないと油断してくれていたらチャンスですね。

 

 

▪️瀧澤選手「扇久保選手に空手っぽさは感じない」

一方で扇久保選手は空手のバックボーンがあるものの、

その戦いぶりはオーソドックスなMMAファイターという感じです。

なので瀧澤選手からも空手っぽさはないと発言がありました。

 

私はMMAらしさに変貌しようが、バックボーンに傾倒したスタイルであろうが

強ければどちらでもいいと思っているので、

強くなる道に進めばいいと考えています。

バックボーンを生かした方が勝てるならそうすればいいですし、

これまでを捨てることで強くなるならそうすべきなのです。

 

この試合は両者空手をバックボーンにしながらも、

空手をMMAに昇華した瀧澤選手と

MMAらしさを追求した扇久保選手の試合とも言えそうですね。

 

ただし、先述の通り扇久保選手は蹴りも強そうなので

そこは空手のエッセンスが継承されているのかもしれません。

 

 

▪️扇久保選手「今回は勝ちにいく、面白い試合は考えない」

扇久保選手は自身のYouTubeチャンネルや取材等で

勝ちに徹するような発言をされています。

 

媒体は忘れてしまいましたが、

前回の朝倉戦では勝気すぎて打撃でいってしまった

という趣旨の発言もあったと記憶しています。

 

瀧澤選手の直近の負けは、

ハファエル・シウバ戦のリアネイキドチョークによる一本負けなので、

発言通りならそれを狙ってテイクダウンで漬けてくる戦略で来ると思います。

 

そうするとまともに打ち合ってはくれないので、

上記にもあげた通り、いかにタックルを切れるか、

テイクダウンを取られてもいい形にさせないか

ということが重要なのですが、

一方で「レベルの違いを見せつける」

とも発言しています。

 

そもそも朝倉戦の作戦でスタンドの打撃で勝負しよう

なんて絶対に考えていないのですから、

いい打撃をもらった後に負けん気で打ち合っていったはずです。

 

試合序盤は冷静ですからテイクダウン中心で組み立ててくると思いますが

時間が進むにつれて負けん気が出てくるはずです。

2ラウンドの後半や3ラウンドは打ち合いに付き合ってくれます。

瀧澤選手は序盤有利に進められなくても、試合の中終盤では必ずチャンスがきます

 

 

▪️瀧澤選手「前回KO出来なかったが、今回はド派手にKOしたい」

当然ながらKOは目指していますが、

何ラウンドまでに倒すといったような、時間の明言はしませんでした。

前回の金太郎戦の前は、必ずKOで、3ラウンドまでいかないのではないかと

本人が発言していましたが、今回は違います。

 

特に試合序盤では思い通りにいかないこともあることがわかっているのでしょう。

そんなに甘い相手じゃないと。

 

しかし上記の通り、焦らずに凌いでいれば必ずチャンスは来ます

瀧澤選手は前回の金太郎戦でも

2ラウンドまでは思い通りにいっていなかったはずですが

3ラウンドで逆転して勝利しています。

なので2ラウンドまでに圧倒されたとしても焦ることはないので、

そこは心配していないです。

 

 

・一応の勝敗予想

勝敗予想を書いてこのエントリーを締めます。

瀧澤選手の3ラウンドKO勝ちと予想しておきます。

 

これはKO勝ちが見たいというよりは、

KOが1番勝ちやすいかなという見解です。

 

扇久保選手は2回もスプリット判定で勝利しているように、

その闘いがRIZINのジャッジに響きやすいのだと思います。

 

気負わず、力まず闘って欲しいです。

MMAファンとして純粋にいい試合になると思っているので

楽しみにしています。